white balance

2020.02.04(tue.) -03.14(sat.)

神谷 泰史

Taishi Kamiya

「白」は全ての色を含んでいる。

それは、視覚刺激を受け取る感覚器である目が受容する光もそうであるし、聴覚刺激を受け取る感覚器である耳が感受する音でも同様に、「白」に相当する色は全ての情報を含んでいる。

「白い音」すなわち White Noise は、すべての音を含んでおり、フィルターによってどんな音でも作り出せると考えられている。これを減算合成と言い、引き算することで音の形を形成するというものである。

かつてミケランジェロは、「まだ彫られていない大理石は偉大な芸術家が考えうるすべての形状を持っている。」と、言ったというが、まさに音の減算合成は、すべての音を持つ「白い音」という塊から、ノミを使い所望の音を掘り出すことなのだ。

音と同様に、「白い光」には、知覚しうる全ての色の光が含まれている。
しかし実は、同じように見える「白い光」も、時間と共に変化しうるため、「白」にはゆらぎが存在する。

本展示《white balance》では、ゆらぐ「白い光」と、減算合成によってそこから取り出された色の光との関係性が変化する状況を作り出すことで、刻一刻と変化する像を結ぶ。